パニック障害の薬物治療法

今では日本人の5人に1人はかかると言われているのが心の病です。その中でもうつ病と並んでよく聞く病名が、パニック障害です。その治療の第一歩が薬による治療になります。薬と上手く付き合う事により、症状を抑える事が出来るのです。

パニック障害に使われる薬は二種類あり、一つ目は抗うつ薬、もう一つは抗不安薬で、この二種類は全く違う効果がある薬の種類と言えます。抗うつ薬は即効性はありませんが継続して服用する事で、うつ状態のやる気や気力のない体を改善する効果が期待出来ます。効果が現れるまで、短くても2週間ほどの時間は必要ですが長期間服用しても安心の薬です。パニック障害の他にも社会不安障害や脅迫性障害にも効果的だと言われています。

抗不安薬脳に直接働きかけるので、早ければ15〜30分ほどで効果が現れますが、半日程度で効き目は切れます。パニック障害時には、頓服としても用いられます。改善されているのが抗うつ薬よりも分かりやすいというメリットの反面、効果がある事から依存性も高くなり辞められなくなってしまう可能性があるというデメリットもあります。

薬の考え方

眠気が強いものは睡眠薬としても処方されるので、その場合、車の運転などは控えましょう。早く治したいという感情や依存、習慣性の心配もあり、勝手に薬の服用を止めてしまう人も多いですが、薬を飲まない事で治療が長引く恐れもあります。服用を止める時は医師と相談した上で無理のないように少しずつ減薬をしていく必要があります。焦らずしっかりと薬を飲みながら治療に専念する事が必要です。


パニック障害の薬物治療法について

パニック障害の場合、現在薬物治療が中心となっています。現在おもに使用されている薬物は3タイプです。選択的セロトニン再取り込み阻害薬であるSSRIは、パニック障害で一番多く使われるポピュラーな薬です。効果が出るまでには2〜3週間かかりますが有効な薬と言われています。副作用には吐き気や眠気があるので、車の運転などは出来ません。

他にも抗不安薬が使われる場合もあります。パニック障害に使われている抗不安薬は、ベンゾジアゼピン系の薬がほとんどです。SSRIが使用される前には、このタイプが一番ポピュラーに使われていました。しかし副作用として眠気やふらつきなどSSRIより強いため今ではあまり人気がなくなっています。もう一つは三環系抗うつ薬ですが、便秘、眠気、喉の渇きなどの副作用があるため、こちらもあまり人気がありません。



現在一番多く使われているSSRIですが、保険が認められているのはパロキセチンセルトラリンのみです。治療を始めて2〜3週間は効果が出ない期間なので、この間だけ抗不安薬のベンゾジアゼピン系薬を併用することが多くなります。SSRIのバックアップ的な使われ方をするだけで続けることはあまりありません。

SSRIは1週間毎に摂取量を増やして、パニック発作が抑制される量で2年ほど内服しつづけます。この量は人によって違いがあり、少しずつ増やしていって探りながら、その人にあった量を見つけるのです。また発作が出なくなった場合は、だんだん薬の量を減らしていきますが、また再発した場合にはすぐに元の分量に戻すという方法を摂ります。

SSRIを途中で注しすると中断症候群によって、めまいや電気ショックに似たショックを感じる副作用もあるので、勝手に薬の中断は注意が必要です。SSRIは指導の下で行うべきものであり、そうすることで副作用も必要以上に不安に思うことはありません。

ちなみに薬代についてはそんなに高いものではなく、保険の利く薬を使うことがほとんどです。多くても1カ月治療費合わせて5000円程度となります。しかし治療期間が長いので医療費の軽減措置(1割負担)を利用することもできます。

パニック障害の薬での治し方と薬のご紹介

パニック障害を薬で治そうとする人もいます。パニック障害というふうに注目されるようになったのは、わりと最近のことですが、今では特に珍しい病気ではなくなっています。昔は神経症やヒステリーという診断がされていました。というのも突然、呼吸困難やめまいや発汗などが起るので、それがヒステリー症状と似ているために、そのように言われていたのです。しかしパニック障害のことがよく理解されるようになってくると、治療にも抗不安藥や抗鬱藥が使われるようになりました。また行動療法や非薬物療法なども、同時に並行して行うとより効果が期待できると言われています。

今パニック使われている薬剤には大きく分けて3つのタイプがあるので、簡単にご紹介しましょう。

抗不安薬(BZ作動藥)
種類としてはコンスタン、ソラナックス、セルシン、ワイパックス、セレナール、メイラックス、レキソタン、エリスパリン、リーゼ、デパスなどがあります。それぞれ気分をリラックスさせ不安や緊張感を和らげる効果があります。脳神経を静めるため不安発作を予防し、睡眠障害にも効果があり、外出時に摂取することもできるのでとても便利に使えます。

三環系抗鬱藥
トリプタノール、トフラニール、アナフラニールなどがあります。昔から使われている抗鬱藥の1つです。副作用が強いところがデメリットと言われています。また効果が出るまで時間がかかるので、鬱状態がある場合に使用される薬です。

SSRI
ルボックス、デプロメール、パキシル、ジェイゾロフトなどがあり、わりと新しい系統の抗鬱剤です。抗不安作用もあり、パニック障害の正式適応藥として使われています。最初に吐き気がありますが、だんだん慣れてくるので鬱症状がある場合には特におすすめです。欧米でも高い人気を持つパニック障害の薬と言われています。

パニック障害の場合、心の問題ととらえがちです。しかし神経伝達物質の異常放出などが心因性の部分と重なったときに起るとも言われています。つまり原因がいくつも時代をまたがって存在している可能性もあるのです。そうなると、もう心の問題だけで治そうとするのはなかなか難しくなるので、薬を上手に使うこともおすすめです。

パニック障害にもつかわれるSSRI

パニック障害の治療にも多くの人が使っているSSRIのご紹介です。新しい抗うつ薬としてSSRIと、以降に開発されたSNRI、NaSSAのことをまとめてSSRIと言われています。国内では1999年にデプロメールやルボックスなどの商品としてSSRIが発売されています。現在、新しいタイプの抗うつ薬としてSSRIは多くの患者に使用されていますが、副作用が以前の薬に比べて随分少なくなっていること魅力です。

どうしても結果が出ないときには、古いタイプの三環系抗うつ薬を使用するという処方スタイルが多くなっています。副作用が少ないことからうつ病やうつ状態だけに止まらず、不安障害、強迫性障害、対人過敏、社交不安障害、パニック障害などにも使用されるようになっていったのです。

SSRIは選択的セロトニン再取り込み阻害薬という種類の抗うつ薬で、セロトニン神経伝達を増強するタイプのお薬です。抗うつ作用の他にも不安の和らげなど、気分を楽にする効果もあります。社会不安障害にはルボックス、デプロメール、ジェイゾロフト、パキシル、レクサプロなどがあり、強迫性障害にはルボックス、ジェイゾロフト、デプロメール、パキシルなど。PDSDやパニック障害にはパキシル、ジェイゾロフトなどが使われます。速攻性はなく効果発現まで最低2週間はかかるため、緊急治療ではなく維持治療向きと言えるでしょう。



SSRIの作用はセロトニンを増やすということだけではなく、抗コリン作用やσ-1受容体への作用、神経伝達物質であるドパミンへの減少があります。抗コリン作用とは自律神経の1つ、副交感神経を抑制する働きがあります。副交感神経を抑制することで唾液の分泌、腸の動き、心臓の動きなどを抑える働きとなります。効果は鎮静効果となりますが、副作用には口の渇きや便秘、尿閉などがあります。

σ-1受容体はうつ病や不安を改善し脳梗塞後の機能改善にも働きます。SSRIの中でもジェイゾロフトとデプロメール、ルボックスのみこの効果があります。またSSRIを使用するとドパミンの減少が起こります。ドパミンが減ることで感情が平板化してしまうため、起伏がなくなり少し違和感が感じられる雰囲気を醸し出すようになることも。SSRIの中でもジェイゾロフト(セルトラリン)だけは、逆にドパミンを増やす効果があります。ドパミンが増えることで過眠、気力低下に有効となります。

ジェイゾロフト以外のSSRIの特徴として、情動が鈍くなり、感情の理解が難しくなり、感情より頭の中を回る思考が目立ってしまいます。また陽性感情の低下として興奮や喜び、楽しさ、愛情などの感情が低下してしまいます。それと同時に陰性感情も低下。悲しい、苦しい、イヤだ、辛い、悔しいなどの感情も低下していきます。そのため泣くということもなくなります。これこそが感情の平板化と言えるのです。そして無関心になりやすく、どうでもいいという感情が強まり、興味の低下につながります。

肝臓や腎臓疾患、躁うつ病、躁病の既往歴のある人、出血性疾患、てんかん、緑内障、心臓病のある人などは、病状の悪化に関する注意が必要躁うつ病においては逆効果になることがあります。また持病やアレルギーのある人も注意。病気によっては症状を悪化させるおそれがあり。飲み合わせの悪い薬があります。SSRIの処方を受けるときには、2週間前から現在までに飲んでいた薬を医師に伝えるようにしましょう。妊娠中もしくはその可能性のある人も医師に伝えましょう。


【使用できない人】
パーキンソン病の治療に用いるセレギリン(エフピー)との併用は禁止。作用がだぶり「セロトニン症候群」という重い副作用のリスクあり。また、安定剤のピモジド(オーラップ)を服用の場合も禁止。重い不整脈を起こすリスクあり。さらに、筋緊張緩和薬のチザニジン(テルネリン)との併用により、血圧がひどく低下するリスクあり。肝臓や腎臓の悪い人、躁うつ病、躁病の既往歴のある人、出血性疾患、てんかん、緑内障、心臓病のある人などは、病状の悪化リスクも。躁うつ病の場合は逆効果も。

【副作用】
感情の平板化の他、落ち着かない、不安、興奮・混乱、不眠、体の震え・ぴくつき、吐き気、めまい、食欲不振、口の渇き、便秘、性機能異常(射精遅延、勃起障害)、血圧上昇、性欲低下、尿が出にくい、動悸、目がまぶしい、などのリスクがあります。他にも幻覚、せん妄、錯乱、けいれん、現実にない声や音が聞こえる、実際にいない虫や動物や人が見える、非現実な体験、もうろう状態、混乱・興奮、取り乱す、けいれんなど。(副作用は人によって出る可能性があるということで、すべて出るわけではありません)。


【ルボックス】【デプロメール】
薬品名はフルボキサミンです。1999年に日本に最初発売されたSSRI薬です。

【パキシル】
薬剤名はパロキセチンです。の薬剤はセルトラリンです。日本では2000年に登場した薬です。抗うつ効果が高いことでも人気のある薬です。

【ジェイゾロフト】
薬品名はセルトラリンです。日本では2006年に登場した薬です。感情の平板化が副作用として出たときにはジェイゾロフトに切り替えると改善されます。抗うつ効果と副作用のバランスは良いと言われています。

【レクサプロ】
薬剤名はエスシタロプラムです。日本では2011年には登場した薬です。抗うつ効果と副作用のバランスはジェイゾロフトと同じく良いと言われていますが、感情の平板化リスクがあります。

パニック障害に使用される抗不安薬(BZ作動藥)について

抗不安薬(BZ作動藥)がなぜ人気があるかというと、興奮を静めるGABAを高めることで気分がリラックスし、緊張をほぐし不安が低減していくのです。睡眠作用や筋肉をほぐす効果もあるため、パニック障害にも使用されています。

抗不安薬(BZ作動藥)はベンゾジアゼピン系のお薬で1960年頃から使用されており、歴史的にも意外と古い薬なのです。それ以前は強力な催眠効果がある代わりに副作用も強く、大量服用で死亡するバルビツール系の強力な睡眠薬が一般的でした。その後50年以上もBZ作動薬は、ずっと睡眠薬の主流とされてきている薬です。しかし1980年代からは副作用がより低いものが出回るようになり、最近はメラトニン受容体茶道約やオレキシン受容体拮抗薬など、まったく作用機序の違った新型の睡眠薬も出ており、耐性も依存性もなく今後ベンゾジアゼピン系より主流になるとも言われています。

BZ作動薬の効果である睡眠作用は、ある意味副作用とも言えることで、薬が効いている間は集中力やものを考える力、運動能力など低下。抗不安薬(BZ作動藥)であっても効果の強弱、効いている時間など、違った薬がたくさん出ています。そのため状態や生活に合わせることができるところも、現在人気の理由になっているようです。

突然やめたり、飲み忘れ、用量を守らないなどしなければ、ほとんど依存・離脱症状は起こりませんが、やめるときには医師と相談をしながら、少しずつ減らしていくことで問題なくやめることが大切です。耐性も副作用の1つとして考える必要があります。長期間続けている体が慣れてしまい効果が低下することも。そのため使用は医師の処方を守ることも重要なのです。重症筋無力症や急性の緑内障を起こしている人には使用できません

抗不安薬(BZ作動藥)の中でも短時間型、中間型、長時間型があり、患者の状態に合わせて医師が処方します。効果についてはどれも気分をリラックスさせたり、不安や緊張感をやわらげ、寝つきをよくするなど。消化器系疾患、高血圧、心臓神経症、自律神経失調症における不安、緊張、抗鬱、焦燥感、易疲労性、睡眠障害などにも効果があります。基本的には不安や緊張を和らげ筋肉の緊張を和らげるお薬です。ここでは商品名、薬品名、半減期(時間)などをご紹介していきたいと思います。



【BZ作動藥共通の副作用】
ふらつき、倦怠感などがありますが、特に高齢者の場合は運動失調、ろれつが回らない、動きがぎこちない、ふらふらするなどがあります。また依存性があるため、長期間飲み続けるとやめにくくなることにも。急に中止すると、いらいら、強い不安感、不眠、ふるえ、けいれん、混乱、幻覚など思わぬ症状があらわれることも。逆に興奮、もうろう状態、取り乱す、かえって眠れないこともあります。

パニック障害に処方される三環系抗うつ薬

パニック障害にも処方される三環系抗うつ薬は、正式な効能の承認はされていません。しかし三環系抗うつ薬もさまざまな疾患による抗うつ効果は、とても有効であると言われています。もちろん抗うつ薬の場合、効果や副作用には個人差があるのでSSRIでも効果がなかなか納得いかない場合や、副作用の問題で使いにくいときにも三環系抗うつ薬が利用されています。

三環系抗うつ薬の効果としては憂うつな気分をやわらげ意欲を高めるお薬で、比較的安全性の高い抗うつ薬としての効果が期待されます。パニック障害、気分が晴れない、落ち込み、悲観的なき分、やる気がでない、集中できない、眠れない、うつ病・うつ状態、糖尿病性神経障害、慢性腰痛症、変形性関節症、線維筋痛症による疼痛などにも応用されます。他にも末梢性神経障害性疼痛、鎮痛補助薬として片頭痛、群発頭痛、過活動膀胱(切迫性尿失禁)、腹圧性尿失禁にも効能があり、子供の夜尿症などにも使われます。

【副作用】
吐き気や便秘などの胃腸症状、めまい、頭痛、不眠などがそれなりの頻度で出る可能性があります。飲み始めの胃腸症状は、吐き気止めや胃薬で対処が必要となる場合も。他にも下痢、口の渇き、イライラ感、怒りっぽい、落ち着かい、気分変調、目のまぶしさ・かすみ、発汗、味覚異常、ふるえ、頻脈、動悸、血圧上昇、尿が出にくい、頻尿、肝機能値の異常、体重減少や増加、異常出血、発疹、かゆみなど。また普通でない不安感や焦燥感、イライラ落ち着かない、気持ちの高ぶり、悪い衝動にかられるなど精神的な変調が出たときは即座に医師に相談すべきです


スルモンチール
薬剤名はトリミプラミンです。精神科領域におけるうつ病やうつ状態、パニック障害などに使われます。通常はトリミプラミンとして1日50〜100mgを摂取することになりますが、1日200mgまで増やすことができます。投与は分割して行います。希に300mgまで増やす場合も。

プロチアデン
薬剤名はドスレピンです。うつ病やうつ状態、パニック障害などの場合、ドスレピン塩酸塩として、1日75〜150mgを3回程度に分けて摂取します。年齢によっては量が変化します。年齢によっても違ってきます。


アモキサン
薬剤名はアモキサピンです。うつ病やうつ状態、パニック障害などの場合アモキサピンとして1日25〜75mgを1〜3回に分けて摂取。効果によって1日150mgまで増やし、深刻な症状の場合は最大300mgまで増やすこともあります。年齢によっても摂取量は違ってきます。

トリプタノール
薬剤名はアミトリプチリンです。精神科領域におけるうつ病やうつ状態、パニック障害、夜尿症、末梢性神経障害性疼痛などに使用しますが、うつ病やうつ症状の場合はアミトリプチリン塩酸塩として30〜75mgを投与。最大150mgまで増やすことができます。夜尿症の場合はアミトリプチリン塩酸塩として1日10〜30mgの投与となりますが、年齢によっても違ってきます。末梢性神経障害性疼痛の場合もアミトリプチリン塩酸塩として1日10mg。1日150mgまで増やせます。

トフラニール
薬剤名はイミプラミンです。処方としてトフラニール錠10mgの場合、精神科領域によるうつ病、うつ症状、パニック障害の場合は初期1日30〜70mg、1日200mgまで増やしていきます。まれに300mgまで増やすこともあります。遺尿症の場合は学童の場合は1日30〜50mg。1日1〜2回投与となります。年齢や症状でも摂取量は違ってきます。

アナフラニール
薬剤名はクロミプラミンです。処方として精神科領域におけるうつ病、うつ状態、パニック障害などの場合はクロミプラミン塩酸塩として1日50〜100gを3回に分けて投与します。年齢にもよりますが、1日の最高服用量は225mgまでとなっています。

ノリトレン
薬剤名はノルトリプチリンです。精神科領域におけるうつ病やうつ状態、反応性うつ病、退行期うつ病、神経症性うつ病、脳器質性精神障害のうつ状態などの場合に使用します。最初の量はノルトリプチリン10〜25mgを1日2〜3回投与。必要に合わせて増量していきます。最大量はノルトリプチリンを150mg、2〜3回に分けて摂取する。


パニック障害克服の具体的な方法とは?